「たっくん旅行のこと知ってたの…?」
「うん。俺にも隠したいみたいだったから知らないふりしててあげたけどね」
「知ってたならなんで言わないのっ!?」
「だって朱里が知ったら自分も行きたいって駄々こねるでしょ?」
「そ、そりゃ私だって旅行行きたいし…」
「いいじゃん。俺と新婚さんごっこしようよ」
いつものように眩しい笑顔のたっくんがとんでもないことを言うものだから、一気に体温が急上昇した気がした。
し、新婚さんごっこ…!?
「新婚さんごっこって…?」
「そんなに顔赤くして可愛い。とりあえず一緒にご飯作ろっか」
話題変えた…?なんだ、冗談か。
「あ…私が作るからたっくんはここ座ってて!」
たっくんの腕を引き半ば無理矢理ソファーに座らせると、キッチンへと駆け込んだ。
焦った…冗談真に受けて顔赤くするとか恥ずかしすぎる。
ただでさえ存分にイチャつけとかお母さんに言われたせいで変に意識しちゃってるのに。
よーし。平常心、平常心…
そう自分に言い聞かせるように心で呟き、頬をパンッと軽く叩いた。


