◆◇◆拓海side◇◆◇



朱里は少し言いにくそうにしながらもポツリ、ポツリと話してくれる。



「そ、それで…セレブにお小遣い貰ってるんじゃないかって思って不安でね、…」

「なるほどね。そういうことか」



不安にさせて悪かったな、と思いつつ目にたくさん涙を溜めて必死に話す朱里が可愛くて可愛くて仕方ない。



「またバイト探すからっ…だからもうお金貰ったりしないで…」



朱里の目に溜まっていた涙が一粒零れ、それがベッドのシーツに伝う。


恥ずかしいから朱里貯金のことは一生黙ってるつもりだったんだけど…

昔から朱里の涙に弱い俺はそんな風に可愛く泣く朱里を前に、朱里が白状したなら俺も白状するしかないかって気持ちになってしまっていた。




「朱里、聞いて?」

「ん?」




今日初めて、俺は“朱里貯金”の存在を明かした。

それはいつか朱里と結ばれることを夢見て小さい頃からコツコツ貯めてきたお金だということ。

その貯金の一番の目的は朱里に贈る指輪を買うこと。

そして、もし結ばれたらデート代として、そして将来は結婚指輪を買うために今でもずっと貯め続けていること。



話が終わった頃には…
ベッドのシーツは朱里の涙でいっぱいになっていた。