「よぉ拓海。イケメンが朝から必死に頑張ってんなぁ」

「リュウジ…俺、今ダメージくらってんの。どうしたらいい?」

「知らねーよ。さっさと告りゃいいだけだろ。つーかなんで佐伯は気付かねぇんだよ?俺、小学生の頃からおまえら見てるけど不思議でしょうがねぇ」

「そりゃ朱里は天然記念物レベルの鈍感だから。それに告らないのにはちゃんと訳があるんだよ」




そう。ここまでやっときながら告白しないのにはちゃんと理由がある。




「幼馴染みの壁って厚いんだよね。ただのクラスメイトくらいの距離感ならすぐにでも告るけど」

「全然分かんねぇけどそんなもんか?」

「そんなもん。今までずーっと一緒に育ってきたんだから下手したら朱里にとって俺は家族みたいなもんかもしれないわけ。そんな奴に告られてみ?気まずくてギクシャクしちゃうじゃん」

「なーるほど…」

「だから朱里に確実にOK貰えるって確信できるまでは告らない。フラれたとき朱里が俺に気遣っちゃうの可哀想だしね。だからフラれないように頑張り中」



幼馴染みって特権もあるけど厄介。

告白してフラれても家が隣じゃ……ねぇ。

朱里はずっと気を遣い続けるだろうし、俺は近くにいる分ずっと引き摺っちゃうだろうし。

だからまずは確実に一歩ずつ距離を詰めないと。


でも…欲求不満は痛い勘違いされたよなー。

距離詰めるはずが、警戒される恐れあり?



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