理性を保とうと必死な俺に何故か朱里は顔を赤らめてドンドン近付いてくる。

それどころか、また潤んだ大きな瞳で下から俺を見上げてきて…


朱里さん!?りっ、理性が……



滅多に焦らない俺が珍しく焦っていると、朱里はポソポソと小さい声で語りかけてくる。



「大きな声で言おうとしてごめんね?でも大丈夫だよ。誰にも言ったりしないから」

「えっ?」

「その…たっくんも男の子だもん。よ、欲求不満なんだよね、きっと」

「は?」

「いいのいいの!たっくん最近彼女作らなくなったみたいだし、一番近くにいる女が私みたいなので申し訳ないけど…それで発散になるなら私は平気だよ」



……………。




「朱里~!おっはー」

「あ、ユメちゃんおはよう。一緒に行こ。じゃあたっくん、またあとでね」




……………。



いや…ちょっと待って。

とんでもない勘違いをされたまま行ってしまった。


欲求不満って……マジかー。

そう捉えられたかー。

鈍感お姫様手強すぎる。