「たっくん…これ、クリスマスプレゼント」
プレゼントを渡したのは、たっくんの部屋でケーキを食べているとき。
今日一日、ずっと持ち歩いていたもののいつ渡そうかと悩んでいる内にすっかり夜になってしまっていた。
「ありがとう。開けてもいい?」
「うん。もちろん」
「あ、マフラー」
私がプレゼントしたのはグレーのマフラー。
マフラーを選んだのには、理由があった。
「たっくん私が小学生の時に編んだマフラーまだ使ってるでしょ?渡したとき言ったけどあれね、失敗しちゃったのなんだよ」
私が小学生の時、夢中になっていた編み物。
その時たっくんに、と編んでいたマフラーは編み目はボロボロ、毛糸もほつれて大失敗。
編み直そうと思っていたのにたっくんは笑顔で、
『朱里、そのままでいいから俺にちょうだい』
そう言って嬉しそうに持って帰ったのだ。
それからというもの、冬になる度にずっとずっとそのマフラーを使い続けている。
高校生になった今でも。
「ありがとう。今度からはこのマフラーと交互に使うね」
「えっ?ボロボロなんだからもう捨てなよ」
「捨てられないよ。朱里が頑張って編んだんだから」
「でも、」
「俺の宝物なんだよ。他にも練習で作った毛糸のコースターいっぱい俺にくれたじゃん。あれも全部取ってあるから」
愛おしい、と思った。
昔あげたものを大切に取っておいてくれる優しさも、
それを宝物だって笑ってくれるところも。
全部が愛おしくて、全部が大好き。


