「ぼ、僕らの天使と関わるなっ!!」

「朱里たんは僕らの妄想の中の彼女なんだっ!!」



そいつらが息を荒げてそんな言葉を口にすれば、俺のイライラは増すばかりだ。

何が妄想の中の彼女だよ。

俺のリアル彼女だっての。

くそ、殴っちゃいたいなー。

どうしよっかなー。

なんて、握りしめた拳をどんどん上に挙げる俺をリュウジは必死に止める。



「おい、やめとけって。おまえがそんなことしたら佐伯が泣くぞ」

「朱里が泣く…?」



死ぬほどムカついてるはずなのに、たった一言ですぐに冷静になって拳を下げちゃう俺。情けな…

いつだってそう。


喧嘩を売られてムカついて殴りそうになったって、朱里の顔が浮かんできて交わしちゃうんだ。


はぁ…朱里さんは本当に罪な人。


朱里は俺を穏やかで優しい人、なんて思ってるのかもしれないけど…全然そんなことない。

だって今、目の前のこいつらに本気で腹立ってるんだから。