10代で恋愛に器用というのもおかしな話だけれど、不器用な少女が恋をすれば、勉強する時間を削ってでも彼氏と会うことを選んでしまっただろう。


しかも、そんな幼い愛に溺れてしまったとしたら、希望していた高校に受かることもなく、思春期の大切な出会いも、まったく違ったものになってしまったかもしれない。


そのあとの人生も、大きく進路変更されて、今の私はここにいなかったかもしれない……。


よく言えば意外に大人というか、現実的な考えを持った『その他』という枠の中にいて、平凡すぎるほど平凡な中学生だった。


その反動だろう。


青春はこれからだと言わんばかりに、彼氏という存在を手に入れたかっただけかもしれないが、猫も杓子も恋につながる話ばかりしていたような気がする。


恋愛の延長にある男女の未知の世界にも興味があったから、少女から女になったことを打ち明ける友達が羨ましく見えた。


テストの順位以上に差をつけられてしまった気持ちになり、私も早くそうなりたいと願っていたこともあった。


けれども現実という名のハードルというやつは、想像以上に高い場所に設定されてあるということを、私はまだ知らなかったのだ。


どちらにせよ、若かったのだと思う。