「おやすみ」

ついさっき、互いにそう言って、キスしてから眠ったばかりだった。


そんな当たり前の挨拶でも、きちんと目を合わせることや、たった何時間という今日の終わりを、一緒に過ごせたこと。


私にとって至福に思える時間だった。



しばらくして寝返りを打つと、そっと目を開けてみた。


ーー私は今、確かにこの男が好きだ。


何の警戒心もなく、服従した犬のように仰向けになり、隙だらけの格好で私の隣に眠っている、宏智(ひろとも)という男が好きなのだ。