その言葉に、私の顔はますます赤くなる。



「私も、ケイくんのことをずっと想ってる」

「うん」

「ずっと、ずっと応援してるから……だから、頑張って」


「あぁ、大丈夫」



……握られた手が、名残惜しそうに離れていく。



「そろそろ行くよ。 またな、七瀬」

「……うんっ!!」



ひらひらと手を振り、ケイくんは離れる。

たくさんの人が行き交う空港で、ケイくんの姿が段々と遠くなっていく。



「……あっ!! ねぇ、ケイくん!!」

「ん?」



すっかり忘れてたけど、私まだ、ケイくんの本名を知らないままだ。



「……ケイくんの本当の名前、教えてもらいたい」



離ればなれになってしまい、次にいつ会えるかもわからない状態。

太一くんたちに聞けば教えてくれるだろうけど……でも、ケイくん本人に聞きたかった。



「歩美」

「えっ……?」



ケイくんが私を呼ぶ。

しかも、初めて「歩美」と……。

にっこりと笑ったケイくんは、髪の毛をかき上げたあと、真っ直ぐに私を見た。






「俺の名前は尚輝。 笠井 尚輝(カサイ ナオキ)だよ」