そして、翌日。

ケイくんを見送るため、私は空港に来ていた。


そこに居るのは私だけ。

太一くんと祥介さんと悠一さんは、昨日の夜にお別れパーティーをしたから今日は来ないらしい。

ケイくんのお父さんは、日曜日なのに仕事があって来られなかった。

そしてお母さんは、2つ早い便でアメリカへ行ったらしい。


ケイくんがお世話になるお家はケイくんの叔父さん夫婦の家らしくて、ケイくん曰く『久々に会って叔母さんと遊びたいんだろ』とのことだ。

会ったことはないけれど、『なんだか楽しそうなお母さんだなぁ』と笑ってしまった。



出発予定時刻まで、あと少し。

そろそろ飛行機への搭乗が始まる。



「七瀬、これ、叔父さんとこの住所。 なんかあったら、ここに手紙出して」

「え?」



スッと差し出されたメモ用紙。

そこには英語がズラッと並んでいる。



「やっぱり、今どき手紙なんて面倒?」

「あっ……ううん、全然!!
なんか、ちょっとビックリしちゃって。 ケイくんが連絡先を教えてくれるなんて、思ってもいなかったから」

「そっか」



微笑むケイくんに私も微笑み返し、メモ用紙を大事に大事にカバンへとしまう。



「あ、私の住所も教えとくね!!
えっと……何か書くもの、持ってたかな……」

「いいよ、大丈夫。 お前から来た手紙を見ながら返事書く。
だから、手紙に住所書いて送って」

「あ、なるほどー。じゃあ、そうするねっ」


「うん」



もう一度二人で笑い合ったあと、ケイくんはゆっくりと歩き出す。