数日後。

ケイくんは、『2週間後にアメリカへ行く』と太一くんを通して言ってきた。

あと2週間で、ケイくんはアメリカへ行ってしまうんだ。


それを聞いた日から私は、時間がある時はなるべく空き地へ行くことにした。

ケイくんのプレーを……そして、その笑顔を目に焼き付けるために……。


そうやってるうちに、次第とみんなとも仲良くなり、初めは『苦手かも…』と思っていた悠一さんとも普通に話せるようになった。

彼の笑顔はほとんど見ることがなかったけど、でも、嫌われてはいないみたい。


初めからニコニコしていた祥介さんは、その後もずっと優しくて、私にバスケのことをたくさん教えてくれる。

『今度の大会をより楽しめるように』と。



……今度の土曜日、チーム『KTSM』がストバスの大会に出場する。

そして、その日の翌日……日曜日に、ケイくんはアメリカへと行く。


『幼なじみ4人でやる最後のバスケかもしれないね』と、祥介さんはどこか寂しそうに笑っていた。

それと同時に『アイツのプレーはストバスじゃ勿体無いよね』とも言っていた。

……うん、祥介さんの言う通りだ。


ここ数日、ケイくんのプレーを見てきて改めてそう思った。

公式の舞台で、ケイくんのプレーが見たい。

それは私だけじゃなくて、祥介さんも……そしてきっと、太一くんや悠一さんも思ってる。



「常に上を目指してるアイツに戻って良かった」



そう言った祥介さんは、ケイくんを見ながら満足そうに微笑んだ。