スッと立ち上がったケイくんは、私の手を掴んで、私の体をも立ち上がらせる。



「バスケが俺のすべてだから、すべてをバスケに捧げる。
今ここで誓うよ。 俺は必ず、頂点に立つ」



真っ直ぐで、揺らぐことのない想い。

それを私に誓ったケイくんは、ニコッ と笑ってから歩き出す。



「家に帰って、色々準備する。
出発の日が決まったら連絡するよ。 じゃ、またな」

「あっ……うんっ!! 連絡待ってるね!!」

「おー」



後ろ手にひらひらと手を振るケイくん。

振り返らないケイくんを見つめながら、私はいつまでもいつまでも手を振り続けた。




そして、ケイくんの姿が見えなくなったあと。



「……私、ケイくんの連絡先知らないじゃん……」



と、最も大事なことに気が付いた……。