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食事を終え、ファミレスを出る。
結局私はハンバーグとご飯でお腹いっぱいになってしまい、デザートのケーキとパフェは1口ずつ食べて、あとはケイくんにあげることにした。
『また間接キスだ』と一瞬思ったけど、なんでもないような顔でデザートを食べ進めるケイくんを見ていたら、『そんなに深く考えることないのかも……』と思えた。
ファミレスを出たあと、ケイくんと二人で近くの公園にやって来た。
小さい子を連れた親子連れや、元気に走り回る小学生たちを見ながらベンチで休憩だ。
そこでケイくんは、色々なことを話してくれた。
バスケ好きの父親の影響でバスケが好きになり、中学の時に最優秀選手に選ばれ、推薦で今の高校に入ったらしい。
そして今度、幼なじみ4人でのチーム『KTSM』がストバスの大会に出るらしく、その話をするケイくんは凄く楽しそうに笑っていた。
ケイくんは色々なことを話してくれたけど……それでも本名は決して教えてくれなかった。
「ケイくんって、本当にバスケが好きなんだね」
「うん」
小さな子供のように目をキラキラと輝かせ、躊躇うことなく頷く。
「小さい時に、アメリカでバスケの試合を見たんだ。
親父の知り合いがアメリカに居て、それで色々と手ぇ回してもらってさ。
で、その時『俺の将来ってコレじゃね?』って漠然と思った。 それでバスケを始めたら『やっぱりコレだ』って意識した」
「わぁっ……凄いなぁ……」
「日々の練習はツラいことばっかりだったけど、それでも結果がついてくると嬉しくて『もっと頑張ろう』って思えた。
だから中学の時、最優秀選手に選ばれた時は本当に嬉しかったんだ」
と、そこまで言った時に言葉が止まる。
……この先の話には、空き地で聞いた出来事が待っている。
中学時代は光の中に居たケイくんが、闇の中へと入ってしまった現実……。
当時を思い返しているだろうケイくんは、苦笑気味に笑って髪の毛をかき上げた。



