た、確かに私たちは仲良くしてる方だけどっ……!!

でも突然「好き」だなんて、そんなの、困っちゃうよっ……!!



「好きだからね、紹介して欲しいんだ!!」

「や、そんな急にっ……!! って、え? 紹介?」

「そうなんだよー。彼女のことを考えると、もぉ胸が張り裂けそうで!!」


「いや、あの……彼女、って?」

「喫茶店『エルフ』で働いてる七瀬 絵美(ナナセ エミ)さんって、あゆちゃんのお姉さんだよね?
俺、彼女のことが好きになっちゃったんだ!!」



……あ、なるほど。

太一くんが言う「好き」って言葉は、私のお姉ちゃんに対しての言葉だったんだ。



「……えーっとね、太一くん。
残念だけど、うちのお姉ちゃん……先週の土曜日に結婚したよ?」

「ふぇ!? マジで!?」

「うん。『エルフ』のマスター、北条(ホウジョウ)さんと」


「ぐはっ、告白する前に失恋くらったー!!
んー……じゃあ、あゆちゃんでいいや、俺と付き合おー?」

「ちょっ……『あゆちゃんでいいや』って何よー……。
で、もう用は済んだ? 他に何も無いなら、私もう帰るよー?」



イケメン男子に声をかけられたのはビックリしたけど……でも、太一くんの用事だとわかってホッとした。

それが済んだからもう帰ろう。 と、歩き出そうとした時。



「あゆちゃん、せっかくだからストバス見ていかない?」

「えっ?」



太一くんが、私の手を掴んで歩き出した。