休日のファミレスは、やっぱり混んでいる。

それでもなんとか席に着くことが出来た私たちは、向かい合わせに座ってそれぞれにメニューを眺めた。


メチャクチャ高いものにしようか、とも思ったけど、それだと食べきれなさそうだったから……結局、いつも頼むチーズが乗ったハンバーグのセットにすることにした。

ケイくんは和風ハンバーグセットとエビグラタン、それからフライドポテトに、デザートにケーキとパフェ。



「うわー……多くない?」

「普通」

「そっかぁ……」



やっぱり運動してる男の子って、食欲旺盛なのかなぁ。

それにしても、ケーキとパフェって……ケイくんって実は甘いもの好き?



「ケイくんってさぁ、ケーキとかよく頼むの?」

「いや、お前が食うかなーと思って頼んだ」

「え、私?」


「女って、そういうの好きじゃん?」

「あー……うん、好き、だけど……」



……私のためにデザートを頼んでくれたのは、凄く嬉しい。

でも……なんか、慣れたように頼んでたから、ちょっと複雑な気分。

他の女の子とも一緒に来たりするのかな? なんて嫉妬してしまう。


……別に私、ケイくんの彼女でもなんでもないんだけどね。

でもこうやってケイくんと一緒に居る“今”は、私だけの『特別なもの』と勝手に思っていたから、やっぱり複雑だ。



「七瀬? どした?」

「あっ……ううん、なんでもない!!」



……なにやってるんだろ、私。

別に、ケイくんがどんな日常を送ってようが私には関係ない。

私たちは『太一くん』という共通の友達が居る、ただの友達。


こうやって一緒にご飯を食べて、奢ってもらったとしても……私たちは、ただの友達なんだ。

……て言うか、私たちって『友達』って呼べる関係?

この人の本名も知らないのに、それでも私たちは友達?