「もー……だから痛いって言ったのに……」

「力加減とかよくわかんねーんだよ」



ぽんぽんと私の頭を優しく叩いたあと、何を思ったのか、ケイくんはメガネを外してそれを差し出してきた。



「それかけてれば、赤くなったのはあんまり目立たなくなるんじゃね?」

「え……でも私、メガネは……」

「大丈夫、度は入ってないから」



……え?

えぇー!? これって、伊達メガネなの!?



「ちょっ……ケイくんって、優等生なメガネ男子なんじゃないの!?」

「なんだよその メガネ=優等生 って偏見」

「だ、だって、かなり頭良さそうだったから……!!」


「俺はただのバスケ馬鹿。 でも、ちゃらんぽらんじゃないからな?」



ニヤリと笑って立ち上がったケイくんは、太一くんのところへと歩き出す。



「ちょっ……ケイくんこれ、どうするの……!?」

「あとで回収するから、お前がかけとけ」

「こ、困るよっ……!!」


「俺は困らない」



……と、ケイくんは後ろ手に手を振り、何事も無かったかのように太一くんと遊び出す。

残された私は、彼のメガネを持ちながら、ただ呆然とそれを見ていることしか出来なかった。