『バスケのために生きてきた』と言ってもいいくらい、ケイくんはバスケを愛してる。
それが出来なくなった時の想いというのは、計り知れない……。
なんて声をかければいいかわからない私に、ケイくんは言う。
「……どうしようもない怒りや憎しみを抱えていた俺を救ってくれたのは、やっぱりバスケだった。
頂点に立つのは無理になったけど、でも、学校の中じゃなくてもバスケは出来る。 それを知ることが出来たんだ」
晴れ渡った笑顔で、ケイくんは言う。
「仲間と笑いながらするバスケが、俺の中の一番になったんだ」と。
屈託のない、素敵な笑顔……。
それを見ていたら、何故だか急に、涙が込み上げてきた。
「……ケイくんは、本当にバスケが好きなんだね」
「うん。バスケは俺のすべて……って、お前、なんで泣いてんだよ……!?」
「……わかんないけど、出てきちゃったんだもん」
「はぁ? なんだよそれ。
つーかこんなとこで泣くなよ、これじゃまるで、俺が泣かしたみたいじゃん」
リストバンドでゴシゴシと涙を拭うケイくん。
「痛い……て言うか、汗くさい……」
「文句言うな」
「化粧がぐちゃぐちゃにー……」
「お前、化粧してねぇだろ」
「……バレてた?」
「見りゃわかる」
そんなことを淡々と話してるうちに、なんとか涙が止まる。
けど、ゴシゴシ擦ったから、絶対赤くなってる……。



