私に視線を戻して、ケイくんはまた笑う。



「バスケ界の頂点に立つ。 それが俺の夢だった。
だから今の学校を選んで、一生懸命練習して、全国で活躍して……と、夢見てたんだ」



ケイくんの笑顔はとても爽やかだけど、でも、なんか……なんでかな、何か違和感がある。

……ケイくんの言葉が、過去形ばかりだから……?



「あの、ケイくん……」



すべてが過去形であることを問いただそうかどうかと迷っていると、ケイくんはふっと息を吐いてから小さく言った。



「あのな、バスケ部に所属してた数名が、飲酒と喫煙、それから暴力っつーアホなことをやらかしたせいで、部は半年間、公式戦への出場停止処分になったんだ。
で、もうすぐ公式戦へ出られるって時に、今度は別の数名が暴力事件を起こして警察沙汰、新聞にも少し載ったかな。
そのせいで、名門バスケ部はそのまま廃部になったんだ」

「え……」

「問題を起こしたのはほんの一部の人間だけど、でも俺たちはチームだったから、『関係ない』なんてことは絶対にない。
責任を取るのは当然のこと。 だけど、あの時はやっぱりキツかった」



……ケイくんは笑っているけれど、でもツラそうで寂しそうで、苦しそう……。