「きゅ、急には無理だよ……!!」

「じゃあ、体あっためるために空き地5周くらいしてこい」

「えぇーッ!? ちょっ、そういう意味で言ったわけじゃないよっ……!!」


「はぁ? じゃあなんだよ?」



面倒臭そうに頭を掻くケイくん。

その顔とバスケットボールを交互に見ながら、モゴモゴと言う。



「私、運動音痴だから……シュートしている姿を見せたら、笑われそうな気がしちゃって……」



と、そう言ったら、ケイくんは呆れた顔でボールを私に渡してきた。



「あのなぁ、シュートの練習に来たんだろ? まず見てみなきゃ、なんともなんねーじゃん」



た、確かにそうだけど……。



「……笑わない?」

「笑わない」

「……もし笑ったら、5千円ね?」


「なんでもいいから早くしろ」



うぅ……今日のケイくんは優しい感じがするって言ったけど、昨日の最低最悪なままでぜんっぜん優しくない……!!

はぁ……ケイくんに教わるの、なんかイヤだな……。



「七瀬、早く」

「あっ、はいっ……!!」


メチャクチャ低い声と、睨むような冷たい視線。

こ、怖いっ……。

これ以上グズグズしてると、もっと怖い目に遭いそう……。



「……じゃあ、行きますっ!!」



フゥッと息を吐いたあと、意を決して、ボールを投げるっ……──!!