帰ってくるとお決まりなこの光景に、母も呆れ始める...


と思いきや...


「あなた!ずるいわ!七海は私とハグするのよ!」


旦那が旦那なら妻も妻でした...


櫻川由羅
旧姓・萩原由羅


萩原グループと言えば、櫻川グループの次に有名な会社で母の実家にあたる。
良妻賢母という言葉が似合う母...
理想の妻として今まで沢山褒められてきたのを見てきた。
いつもしっかりしていて、優しく完璧な母だと思っていたのに...


「七海ちゃん、これママからのプレゼントよ。七海ちゃんに似合うと思って!」



今や、すっかり親バカになって、父と張り合っている...


「なんだ!由羅!ポイント稼ぎのつもりか!」



「女の子だもの。当然でしょ!理解してないのね!」


また始まってしまった...


「ななみたん!欲しいものあるかな〜?パパにもプレゼントさせて欲しいなぁ〜!」


「あ、いや、その...」


「七海ちゃん!お菓子食べに行きましょ!ね!」


「えっと...あの、」


「由羅!君はプレゼントあげただろう!譲りなさい!」



「あなたこそ譲りなさい!お腹を痛めてこんな可愛い七海ちゃんを産んだのは私よ!」


「ななみたんは、君一人じゃあ生まれてこなかっただろ!」


「何よ!七海ちゃんはね、私に似てるのよ!目元も口元も!」



「なんだ!顔だけか!ななみたんは性格も俺に似て優しいしっかり者で、食べ物の好みだって同じなんだよ!」



もうここまで行くと収集がつかない...



諦めて部屋に帰る私なのだった...