陽介の後ろを歩きながら感じる女の子の視線に気づかないフリをする。

やっぱり人目を惹きますよね。


「はぁ、」

「その溜め息はなに?」

「勝てないな、って」

「はぁ?」

「陽介には分からないよ」



ほら、あの子。
モデルのようなガリガリ体系。カールさせた髪にふんわりした雰囲気をまとった彼女は、立ち止まって陽介を見ていた。


勝てるはずがない。



陽介を狙うライバルは多すぎて…再び自信喪失。



「俺が分かってないことは、おまえがちゃんと説明すれば良いだろうが」

「う~ん、じゃぁさ。あの子の熱い視線に気づいてる?」


小言で尋ねる。


「ああ」



ーーなんだ。気付いてたのか。



「もう慣れてる」

慣れるほど、見られてるんですか。


「おまえが気にする必要ないだろ?」


「気になるよ。だってもしかしたら、私のこと……彼女とか思てるかもしれないよ?」



彼女と勘違いされて浮かれてはいられない。
だって実際は彼女じゃないんだから。



「嫌でしょ?」

「勘違いさせとけよ。俺は構わないけど?」

「え……?」



ーー冗談だと分かっているのに、
嬉しい言葉だ。



だけどそれだけに、
期待を持たせないで欲しい。