ありふれた恋。


狭いベッドに2人で寝れば、肩も触れる。
たかが、肩なのに。

その部分がやけに熱い。


肩から送り込まれた熱が、顔までもほてらせる。

こんな状況で堂々と眠れる、恋する乙女に会ってみたい。


「おまえは、乙女じゃねーし」



祐太郎の声が聞こえた気がした。



なぜこんな時に祐太郎の顔が浮かぶのかと、思わず笑ってしまう。


「なにが、おかしいの」


「あ…、祐太郎の顔を思い出して」


「祐太郎?」



怪訝そうな声が返ってきた。



「なんであいつのことを思い出すわけ?」

「その、…」

「むかつくな、」



暗闇に慣れた目で陽介を見れば、とても不愉快そうで。

祐太郎の話題を出してはいけなかったのかな。

でもなぜ?


「あいつとは友達?恋人?」

「え?」



予想していなかった問いに、間抜けな声を出した。


「つまり、どういう関係なわけ?」


「私たちは悪友、って感じ?」



そう言うと、陽介は吹き出した。



「なんだよ、悪友って。意味分かんねぇ」



「だって友達と呼べるほど、清き関係じゃないし」



何度も一緒に授業をサボり、教師にしかられ、
夜遊びをして時には人にも迷惑をかけて。

たぶんお互いがお互いに悪影響を及ぼしている。


それでも一緒にいるのは、馬が合うからで…

うん、やっぱり"悪友"が一番しっくりくる。







「じゃぁ俺たちの関係は?」