ありふれた恋。


「医者」

「凄い……」

「ちなみに俺も継ぐつもり」

「え?」

「今、医大に通ってる」



――知らなかった。

国立大学だということは聞いていたけど。

まさかお医者さんを目指していたなんて……知らなかったことに少しショックを受ける。

思えば国立大学だという情報も陽介の口からではなく、祐太郎から仕入れたのだ。


「……もっと早く知りたかったな」



「関係ないだろ」



「……」





――関係ないだろ?







耳を塞ぎたい衝動に駆られた。