ありふれた恋。


それから一緒に部屋を後にした。

駅から少し離れた住宅街に住む陽介は、大学に入学したと同時に一人暮らしを始めた。

「陽介、」


見慣れた道を歩く。
何度も何度も通った場所。

後何回、私はこの道を歩けるのだろう。



「んっ?」

「大学って楽しい?」

「普通」

もっと陽介が自分のことを語る人だったら、大学での過ごし方が分かるのに。

大学という私が踏み入れられない領域で、せめて陽介の周りにはどんな友達がいるのかくらい知りたいよ。


「最近、なんかあった?」


いつも話しを振るのは私の方で返ってくる言葉は短い。


「特になにも」

「じゃぁさぁ、可愛い女の子とかいる?」


わざと明るく聞いてみた。