ありふれた恋。


抵抗さえできない私は、完全に陽介に流された。

いや抵抗できたとしても、結果は同じ。
好きな人にキスをされて拒む理由なんてないのだから。

少し長めのキスは触れるだけのものだったけど、身体が熱を帯びるには十分だった。



「眠みー」

私から離れた陽介はゆったりとした動作で、ベッドから離れた。

大人の余裕を見せつけられているみたいで、なんだか悔しい。だって私はまだこんなにも激しく心臓が波打っているのに。


「今のなに……?」


かすれた声で尋ねれば、



「今のって?」



何事もなかったようなとぼけた返事。



「それより飯にするぞ」



涼しい顔で平然と流された。