ありふれた恋。


夢を見た。

陽介が隣りで笑っていて、私もそれにつられて笑う。

まるで恋人同士のようは雰囲気を漂わせてる私たちは、幸せそうだった。


眠っているはずの脳でさえこれが単なる夢だと、痛感している。

陽介と私が恋人同士だというならこれは"夢"だ。



現実はーー




勢いよく起き上がった。
カーテンの隙間から、光が差し込んでいる。



「もう朝だ…」


切なすぎる朝。

だけど今朝はいつもと違う。


床の固さは感じず、ベッドの弾力の上にいた。



「柔らかい……」


いつもと違う柔らかさ、それに加えーー



「寝ぼけてんの?」


いつもと違う温かさ。



「陽介……?」


あれ?また夢の続き?
もう夢など見たくもないのに。


幸せな夢ばかり見ていたら、現実の辛さに堪えきれなくなる。


「起きないと遅刻すんぞ」


「聞いてんのか、シカトするとはいい度胸だ」


「陽介……?」



隣りから声が聞こえたと思えば、陽介の綺麗な顔が迫ってきた。