ありふれた恋。


「どうして…」

「気が向いたからだよ」


相変わらず眠そうな声が聞こえた。


「なんで…」

「早く、水くれよ」



同じことを呟く私を相手にせず、水を求められる。


「ありが…」

「甘ったるいもの食ったら、そりゃぁ喉も渇くわな」



ありがとう、
そうお礼を言うタイミングも与えてもらえないようだ。


「陽介」

「ああ?」

「隣りで寝ていい?」


思い切って言葉にした。



「好きにすれば」



返ってきた言葉は投げやりだったけれど、許可が下りたことに胸を撫で下ろす。



「嬉しいかも」

「あ、そう」



素敵なマグカップを贈られただけでなく、初めて隣りで眠る許可をもらえた…。