ーーキースがいなくなって、

「……リュート」

別れ際、窓に佇んでいた彼の面影が脳裏に蘇る。

「……好きなのに、あなたが……」

もう会うことさえも叶わないのかと思うと、ただ泣くことしかできなかった。

枕に顔を付け、声を押し殺して、

「……愛してるの、リュート……」

泣き続けた。

「……リュート、二度とは叶わない恋なら、いっそのこと……」

涙も枯れて枕から顔を上げると、ふらふらと鏡台の前に行って、置いてあった鋏を手に取った。

「……好きな人とも、一緒になれないのなら、もう生きてることなんか……」

手にした鋏の刃を首へあてて、鏡の中の自分を見たーー。