彼の城に着き、侍女たちが荷物などを運び込む中、

「我が城へ、ようこそ」

キースに手を引かれて、数ある部屋の一室へと連れて来られた。

「今日から、ここが貴女の部屋だ。自由に使うといい」

「はい…」

かつての私室とは違う、広い空間を眺める。

「必要なものがあれば、なんでも言ってもらって構わない」

「…はい」

私の返事に、彼が訝しげな顔で見る。

「…さっきから、"はい"しか言わないんだな。そんなにも、この私が気に入らないのか?」

「いいえ…そんなわけでは……」

言葉の途中で、急に顎を掴んで上向かされた。