ーー迎えの馬車に乗り込むと、父と母から、「幸せになるのですよ」と労いの言葉をかけられる。

「はい…」

応えて、再び流れた涙を自分の手で拭うと、

御者が馬に鞭を入れて、馬車が走り出した。

振り返ると……窓辺に立ちすくんで、見送る彼の姿が目に映って、

「リュート……」

ようやくこらえていた涙がまた溢れ出して、止まらなくなった……。