けれど、彼は、

「あ……」

と、小さく声を上げて、唇が合わさる寸前で思いとどまると、

「……申し訳ございません」

謝って、再びアルコールのグラスを手にした。それを止めさせて、

「……謝らないで。……お別れのキスぐらい、させて……」

と、自から彼へと口づけて、

「……リュート、これが最後よ。だから、伝えさせて……」

彼の頬を両手で挟んで、つぶさに目を合わせる、そうして、

「……愛してるわ」

ただ一言を、告げた。