「だったら……」

この期に及んでも煮え切らないその態度に、苛立ちが募るようで、

「もう、飲むのなんかやめて……」

と、グラスを取り上げようとする手を、

「……飲ませてくださいっ!」

彼の手が掴んだ。

そのまま引きずられるように、その胸の中に倒れ込んで、

「……リュート」

思わず名前を呼ぶと、

「ジュリア様……」

呼び返されて、込み上げる思いに互いの唇が吸い寄せられるように重なりそうになる。