「……ねぇ、見送りにも来てくれないの?」

言いながらそばに寄ると、

「申し訳ございません……酔っていまして、こんな顔でお見送りに出るべきではないかと……」

そう口にした。

「……いつから飲んでるのよ? そんなに酔うなんて……」

「……昨夜から」

グラスを持ったままで、彼が低く声を落として言う。

「……。……それほどまでに飲むなんて、私との別れが辛いからだと思っていいの?」

尋ねる私に彼は何も答えずに、ただ黙って首を左右に振った。