……リュート、あなたはそこにいるのに、この手も、そうして心さえも、もう……届くことはないの?

キースに腰を抱かれながら、届かない自分の手をじっと見下ろして、

……私はあなたと共にありたかったのに……と、こぼれそうにもなる涙に耐えるのに、

「……私と結婚をすることこそが、真の運命だ。運命には逆らえないことをわかるがいい。ジュリア、おまえにはもう他の道など何もないのだと」

キースが僅かな希望を閉ざすようにも言い下して、

「私だけを見て、私だけを愛することしかできぬようになれ」

またしても、今度はリュートへ見せつけるようにもして、口づけた……。

……瞬間、今の場面を目にしただろうリュートの哀しみと、自らの嘆きとが相まって胸へとなだれ込んで、頬を涙がつたった……。