涙をこらえて戻ると、 「…奴へきっちりと別れを言ってきたのか?」 と、キースに尋ねられた。 黙って、首を縦に振って答える。 「……あんな格下の者が、侯爵家の私と張り合う方が間違っているんだ。自らの身分をわきまえるがいい」 気怠げに壁に身体を預けている彼の方を睨み据えると、 「……おまえも、奴のことを考えるのは終いにするんだ」 上から言い渡すようにも言って、 自分の物だと言わんばかりに、腰を強く引き寄せた……。