付けた口づけの痕を、指の先でなぞって、
「……愛しているといくら口にしても、私の胸の内の全てを、本当にお伝えすることはできないのが、ただ歯がゆいのです……」
リュートが口を開く。
目の前の濡れて薄く紅い、なまめかしい程の唇を見つめながら、
「…ねぇ、リュート…もっと、抱きしめてよ……」
彼のタキシードの裾から手を差し入れて、シャツ越しに背中に腕をまわす。
「……ジュリア様、こんなにも罪深いことは、きっと許されないと……」
言いながら、付けたキスマークに再び唇で触れる彼に、思わず「あっ…」と、声が漏れてしまう。


