「……だけど、愛もないのに、見せかけに幸せに暮らそうとすることだって、きっと無意味だわ……」

呟いた私の手を、すっと取って、

「……私の心の在処を、ジュリア様が知っていてくださるのであれば、私はそれで……」

静かに、手の甲へ口づけを落として、

「……私は、それで良いのです。例え、愛してると口にはできなくとも……」

「……愛してる…ね」

彼の言葉をくり返して、その細く長い指に目を落とした。

自分の掌の中に、彼の指を絡め取って、

「この手で、あなたを抱くことができたら、どんなに……」

思いを口にして、

「……リュート」

手を引いて、彼とともに折り重なるようにベッドに倒れ込んだ。