私の馬は先へ逃げて行ってしまい、リュートは私を前に乗せて、ゆっくりと馬を走らせた。
「……大丈夫でしたか?」
「……ええ」
「よかった……」
リュートはそれ以上は何も言わなかったけれど、触れ合う私の背中と彼の胸が微かに熱を帯びるようだった。
ーー前方で馬を待たせていたキースが、私たちの姿を見つけて眉間にしわを寄せる。
「……あなたの馬だけが走ってきたから、何事かと待っていれば……それは、どういうことですか?」
と、キースが二人で乗る馬を見やる。
「…私が、馬から落ちそうになったのを、彼が助けてくれたのよ…」
「ほうー……」
私の答えに、キースが薄く微笑う。