「彼女を賭けて競走をして、そちらが勝てば私は今後一切の手を引こう」

続けられるキースの言葉に、

「……私は、そのようなことをするつもりはありません」

と、リュートが応じる。

「どうしてだ、おまえも彼女に気があるのだろう? だったら、この提案には乗った方が得策だとは思わないのか?」

「……思いません」

と、リュートが首を横に振る。

「……ジュリア様を賭けるなどと、そのようなことをするつもりは、私には毛頭ございません」

そうきっぱりと言って、キースの話をはねのけた。