……乗馬服に着替えて、馬を出した。

私の白い馬にキースの黒い馬が伴走して、後ろからリュートの栗毛の馬が付いてきていた。

緩やかに続く野原を走りながら、

「……あの執事、遅くはないですか?」

キースが話しかけてくる。

「そんなに、遅くもないでしょう…」

と、受け流すのに、

「……ふん。やはり、下流の者は馬にも乗り慣れてないと見える…」

言って、くくっと短く笑う。

なんて嫌味な男なんだろうと思いながら、何も答えずにもいると、

「……そうだ」

と、不意にキースが馬を立ち止まらせた。