「……思い出、ですか」

面白くなさそうにも口にして、ふんと鼻を鳴らすと、

「思い出など、これからいくらでも私が作って差し上げますよ?」

と、笑った。

「……そう、」

リュートの存在を否定するかのような、皮肉混じりな言い方が耳につく。

「……では手始めに、思い出作りの遠出でもしませんか?」

「…遠出?」と、顔を上げる。

「ええ、馬で少し遠くへ…」

キースが言って、

「……そちらの執事も、お共にどうぞ」

と、付け加えた。