「……。……そこまで好きなのならば、あの執事を連れて結婚をすればいい……」
「…えっ?」
唐突な彼の提案に、驚いて聞き返す。
「……ククッ、そうして見せつけてやればいい、私たちのことを……。
あの執事には、不実を働くことなどはできないはずだ……せいぜい自分の身を呪うがいい」
「……どうして、そんなことを……」
彼の思惑の真意を知って、言葉を呑む。
「……言ったはずだ。あなたは、渡さないと……私は、本気だと……」
逃げられないまま、再び強引に唇を重ね合わせられる。
「……あなたの好きにするがいい。執事を連れて結婚するのも自由だ……。
しかし、あなたがそれでより辛い思いを味わうことになったとしても、それは私の預り知らぬことだ……」
微かな笑いを浮かべて話す彼に、ただならぬ情感を思い知らされた気がした……。