「やめて…!」

身体を両手で押し戻して、唇を拳で拭う。

「…なんで、こんな……」

「こんな? 何がです? 私たちは、正式に交際をしている身……キスぐらいはして当たり前のはずだ」

「当たり前だなんてことは……」

両肩をつかんで向き合わされて、

「今度、婚約のお披露目を共に」

もう一度、口づけられそうになるのを、顔をうつむけて抗う。

うつむいた頬を平手で叩かれて、驚きに目を見開いたところに再び唇が重ねられた。