「……あの執事が一緒ではなくて、残念そうですよね？」

唇の端を引き上げて笑うのを、

「…………。」

無言で、その顔を睨みつける。

「……あなたは、私といながら私を見てもいない」

低く怒りを抑えたような声で言い、

「……こっちを向いて、私を見るんだ」

顎をつかんで、無理やりに顔を自分の方へ向けさせると、

「……あの執事より、私を愛していると、言ってみるがいい」

じっと目を合わせてきた。

「…無理よ。……思ってもいないことなど、言えるわけが……」

言葉の途中で、突然に口づけられた。