「……弱味を握って、つけ込むつもりなの?」

と、睨みつけると、

「……つけ込むなどと、人聞きが悪い。……私は、ただお美しいあなたとお付き合いがしたいだけですから」

微笑を浮かべて見せた。

「……侯爵様なら、お誘いなんていくらでもあるはずでしょう?」

「いいえ、私は次男ですから、誘いはもっぱら兄の方ばかりでして……ですから、あなたとこうしてお近づきをと」

ふっと軽く鼻の先で笑う。

「……次男だから、人の弱味をつかんででも、伯爵家に転がり込もうと?」

口にすると、

「なんとでも……あなたには、今は選択肢がないことくらいは、おわかりですよね?」

口の端を吊り上げるようにもして笑った……。