「ジュリア様、私と一曲踊っていただけますか?」 「……ええ、リュート」 手を取ると、月灯りの下でリュートが私の身体に腕を回して、踊り始める。 白く長めの彼のタキシードの裾が、月光の薄明るさに映えて、ターンを切る度にくるくると艶やかに舞う。 誰もいない庭園で、彼が土を踏んで優雅に踊る足づかいだけが聴こえる。 「……ずっと、こうしていて……」 漏れる呟きに、「いいえ…」と、リュートが足を止めた。