「ふふ…素敵な執事さんね」

仄かに赤らむ頬に、微笑を浮かべる。

「…ねぇ、リュートこっちに来て。庭園に綺麗な薔薇が咲いてるのよ」

照れ隠しに彼の手を引っ張って、邸の外へと連れ出した。

広い庭を鮮やかに彩って咲く紅い薔薇に、

「……本当に、綺麗ですね」

と、彼が目を細めて、感嘆の声を漏らす。

「ね…そうでしょう? この薔薇は、庭師のサムが咲かせたのよ」

「庭師の……あの方ですか?」

と、リュートが庭いじりをしている背中に視線を向けた。