……12歳になった時、「彼が、あなた付きの新しい執事です」と、母から一人の男性を紹介された。

「……私の、執事?」

と、その顔を仰ぎ見ると、

「はじめまして、ジュリアお嬢様。リュート・ル・アンリと申します」

白いシャツにブルーグレイのスーツ姿の青年が、ゆっくりと頭を垂れた。

「リュート……」

艶やかな黒髪と印象的な真っ青な瞳を併せ持った、美しく整った容貌のその人は、どこか儚くて中性的にも感じられるようだった……。