「……この花は、エーデルワイスと言います」 「……エーデルワイス?」 「…ええ」と、リュートは頷いて、 「……高地の山合いに咲く花で、こんなにも群生しているのは珍しいかと……」 私に微笑んだ。 「……エーデルワイス……そんな薔薇が、かつて邸内にもあったわね…」 「……憶えておいででしたか? この花があの薔薇と同じ名前だと知った時、より懐かしくあなたへ想いを馳せるようでした……」 「……ええ、忘れてないわ」と、笑いかける。