「はい……お嬢様には、お世話になりましたので、せめてものお返しを、この爺にさせてくださいませ」 「……サム、」 と、その背中に抱きつく。 「……お嬢様と彼とのことを、私はいつも微笑ましく見ておりました……さぁ、行かれてください。彼の元へ……」 「……ありがとう……」 頭を下げると、 「……お礼などおそれ多い、私は恩返しをしたいだけですから」 言って、 「これは少しですが、費用の足しに」 と、幾ばくかのお金を握らせた。